アビトゥーア(Abitur)とはなんぞや?
「アビトゥーア」とは、主にドイツで実施されている大学入学資格試験です。その他、ドイツ語圏(オーストリア、スイスのドイツ語圏ではマトゥーラMaturaと呼ばれる)、フィンランド、中欧スラブ圏で実施されています。高校卒業資格であると同時に、ドイツ国内や、その他のヨーロッパ各国の世界基準の大学入学資格試験でもあります。試験で一定のスコア以上を取ることで、ギムナジウム(ヨーロッパ中等教育機関のうちの一つ)で、最後の二年間の試験成績と併せて“Zeugnis der Allgemeinen Hochschulreife(ドイツ語:一般的大学入学資格証明書)”を取得します。
アビトゥーアは一度修得すると、試験のスコアにより規定される範囲の中で、自分が希望する大学に進学することができます。また、大学個別の試験は課されません。
ドイツの学校制度は、かなり特異で、進路選択も多岐にわたります。ドイツでは、日本の小学校に相当する基礎学校グルトンシューレ(ドイツ語:Grundschule)は、一部を除いて四年間のみです。その後、大学や技術系専門大学など、高等教育を受ける学生は、ギムナジウム(ドイツ語:Gymnasium)に進学します。
その他の進路は、働くことを前提にしています。働きながら職業訓練を受ける学生や、職業専門学校に進学する学生のための基幹学校(ドイツ語:Mittelschule/Hauptschule)、職業専門学校へ進学する学生のための実科学校(ドイツ語:Realschule)、そしてギムナジウムと合わせて、三つの進路があります。
本書では、アビトゥーア受験者に焦点をあて、ギムナジウムから大学進学までの高等教育コースの概要をご紹介します。
■基礎学校~ギムナジウムの学校制度
四-八制
◎グルトンシューレGrundschule(一年生~四年生)
日本の小学校に相当する基礎学校です。グルトンシューレと呼ばれ、履修機関は一年生~四年生までの四年間です。小学校から落第制度があり、ストレートで卒業する全体の六割といわれています。
◎ギムナジウムGymnasium(五年生~一二年生)
日本の中学校・高校に相当する中・高等教育機関です。ギムナジウムと呼ばれ、履修
期間は五年生~一二年生までの八年間です。大学進学に特化したコースで、就業希望者はギムナジウム以外のスクールに進学します。
■アビトゥーアの受験は二回まで
アビトゥーアは受験の機会が二回しかありません。再受験の成績で一定以上のスコアをおさめなければ(最高一.〇~四.〇)大学進学の道が絶たれます。
アビトゥーア取得後は、進学を保留することもできます。社会に出るなど、見聞を広めてから再び進学することも可能です。
■日本でも認められた大学入学資格
一九九五年、アビトゥーアは日本における大学入学資格として認定を受けています。一八歳以上のアビトゥーア資格所有者、もしくは、ドイツで一二年教育課程修了者は、日本国内の大学進学が可能です。
■ドイツにおけるアビトゥーア
アビトゥーアの試験科目は四四科目、うち最低一科目は口頭試験を義務付けられています。また、筆記試験の内容は難しく、日本の一般的な選択式とは違い、記述式で試験時間は三時間超の。必須科目以外の科目は自由選択ですが、歴史+ラテン語、医学+生物or化学、のように組み合わせて受験するなど、細かな決まりがあります。
■ドイツの医学部受験について
ドイツの医学部受験は、日本の医学部と同様、難易度が高いことで知られています。アビトゥーアの成績が一.〇~一.二程度でなければ合格の可能性が低くなります。また、医学部希望者には、アビトゥーアでなく、TMS(ドイツ語:Test für Medizinische Studiengänge、)医学部適性試験が用意されています。
TMSは、医学部進学希望者が受試対象です。医師としての適性があるものの、アビトゥーアでは医学部合格程度の成績に満たない学生を対象にしています。
ドイツの大学には、医学部がある大学が全部で三五校あります。そのうちの医学部一四校、歯学部七校で、TMSの成績を用いて入学選考を行っています。
TMSで優秀な成績を収めた学生は、アビトゥーアの成績にTMSの成績が加算され、医学部への合格可能性が高まります。
■二〇一七年~全国統一基準
現在のアビトゥーアは、州ごとに学力差があり、都市部よりも郊外の方が易しい傾向が見られます。しかし、今後世界レベルの大学入学資格としての機能強化のため、二〇一七年から一部の科目で、全国統一基準が導入される予定です。
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